コーヒーにはカフェインやクロロゲン酸といった成分が含まれており、これらの成分がダイエットに有効な事は有名です。クロロゲン酸の摂取と体脂肪率減少の関係は論文でも証明されています。
この事が知られてからダイエット効果を求めてコーヒーを飲む男女が増えたという事ですが、あまり効果のない飲み方をしている人も結構な数いるよう。
このページではこれらの成分がなぜダイエットに有効なのかの説明と、浅煎り豆をペーパードリップで抽出したものが効果的な理由について書きたいと思います。
カフェインとクロロゲン酸のダイエット効果
コーヒーの成分の中でダイエット効果があるのはカフェインとクロロゲン酸です。
カフェインやクロロゲン酸にはどのようなダイエット効果があるのかを簡単にまとめていますので参考にしてください。
代謝率を高めるカフェイン
コーヒーに含まれる代表的な成分カフェインには代謝率を高める効果があり、コーヒー一杯程度のカフェインを摂取すると飲んでから約三時間の間3~5%、三杯程度の摂取で約10%代謝が上がるという研究報告があります。
一日三杯コーヒーを飲んだと仮定すると上昇した代謝エネルギーは20~40kcalなので大した事はないと思われがちですが、積み重ねると意外と大きなエネルギー消費になります(一年で1kg程度は減らせるカロリー)。
ただし、カフェインを摂取し過ぎるとデメリットもありますので、自分に合った摂取量を守りましょう。
カフェインの脂肪燃焼効果
カフェインには脂肪分解や脂肪燃焼を助ける効果もあり、運動とカフェイン摂取を組み合わせる事でこの効果はさらに高まります。
具体的にはコーヒーを飲んだ後、30~60分くらいすると体脂肪の分解がすすみ、血中に遊離脂肪酸という形で放出。この放出された遊離脂肪酸を運動で消費すれば体脂肪を減らす事ができるという事です。
二杯程度のコーヒーを飲んでから運動した人と、飲まずに運動した人を比べると脂肪消費は30~50%程度違ったというデータもあります。
メジャーリーガーのダルビッシュ有選手もカフェインの効果に期待してあまり好きではないコーヒーを運動前に飲んでいる事は有名です。
コーヒーを飲んだ後の約一時間は脂肪燃焼のチャンスなのでしっかり運動をしましょう。激しい運動ではなく、歩くだけでも効果はあります。
食欲を抑えるカフェイン
食欲(お腹が空いたと感じる事)には自律神経が大きくかかわっています。
カフェインは交感神経の活動を亢進(高ぶり進ませる事)させ、コレシストキニン(消化管ホルモンのひとつで食欲抑制効果がある)の放出を促す効果があります。
交感神経が活発になる事でも食欲を抑える事ができるので、コレシストキニンの働きと併せて空腹を和らげることができるのです。
食事の一時間程前にコーヒーを飲めば食欲を落ち着かせる事ができるのでドカ食いを防ぐ事もできます(食べ過ぎ防止)。
血糖値の上昇を抑えるクロロゲン酸
血液中の糖が急激に増加すると高血糖によって血管損傷が起こらないようにインスリンが大量に放出され、それによって糖の脂肪細胞への取り込みも促進されます。
つまり、急激な血糖値上昇を抑える事で肥満予防になるという事です。
クロロゲン酸は糖の分解酵素の働きを阻害する効果があり、摂取した糖が吸収しやすい状態になるのを遅らせる事ができます(余分な脂肪を溜め込ませない)。
クロロゲン酸にはGLP-1という血糖値の上昇を抑えるホルモンの生成を促す効果もあります。
このようにクロロゲン酸は糖の分解→吸収のさまざまな場面で血糖値の上昇を抑制します。
ダイエットに最適なコーヒー豆
ダイエットに最適なコーヒー豆はカフェインやクロロゲン酸をたくさん含んでいるものです。
クロロゲン酸は生豆の状態で最も多く、焙煎が深くなっていくにつれて少なくなっていきます。
尚絅(しょうけい)学院大学の高屋むつ子氏らの研究に”コーヒー中のクロロゲン酸量に及ぼす焙煎時間および抽出条件の影響“があります。
この論文をもとにクロロゲン酸をたくさん含んでいるコーヒー豆と抽出方法をまとめてみます。
・焙煎度合は浅ければ浅いほどクロロゲン酸がたくさん含まれている。深煎り(11分焙煎)になるとほとんど含まれていない。
・豆のグラインド(細挽き、中挽き、粗挽きなどの挽き具合)による差異はほとんど認められない。
・お湯の温度によるクロロゲン酸含有量を85℃、90℃、95℃で試験した結果、温度が高い程クロロゲン酸量は多くなった。
・蒸留水、軟水、硬水の三つの水質でクロロゲン酸量を計測した結果、硬水のみクロロゲン酸量は少なかった。
・サイフォン、ペーパードリップ、コーヒーメーカーの三つの抽出方法でクロロゲン酸量を計測した結果、サイフォンとペーパードリップにはほとんど差異が認められなかったが、コーヒーメーカーのクロロゲン酸量はかなり少なかった。
・研究員が焙煎したモカ・シダモ、ブラジル、キリマンジャロの中で最もクロロゲン酸が多く含まれていたのはモカ・シダモ、次はキリマンジャロ、最後がブラジル。
・インスタントコーヒーや缶コーヒーにもクロロゲン酸は含まれているが、通常のコーヒー豆での抽出と比べると1/5以下。
・短時間で大量に焙煎する大手焙煎店の豆(コロンビア、マンデリン)の方が、味を重視し豆の種類や状態に合わせて時間をかけきめ細かに焙煎する自家焙煎専門店の豆(モカ、モカ・シダモ、コロンビア)よりもクロロゲン酸量は多かった。
これらの研究結果を踏まえると、ダイエットに最適なのは焙煎度合は浅煎りで水は軟水、水の温度は高め、抽出方法はペーパードリップ、豆の種類はマンデリンやコロンビア、モカ系など、という結果になりました。
参考研究:コーヒー中のクロロゲン酸量に及ぼす焙煎時間および抽出条件の影響
さいごに
コーヒーがダイエット効果抜群なのは多くの人が知っていますが、具体的にどのような豆をどのような焙煎度合や挽き具合で、どのような方法で抽出すればよいかを詳しく知っている人はあまりいません。
このページではコーヒーダイエットには浅煎りコーヒーをペーパードリップで抽出して飲む事でダイエット効果があるクロロゲン酸を効果的に摂取できる事を紹介しました。
コーヒーダイエットを試してみたいと思っている人の役に立てれば幸いです。
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