コーヒーはお湯で抽出して作るため、コーヒーの約99%は水分です。
したがって、元々豆に含まれる栄養素のほとんどは摂取されることなく捨てられます。
ただ、栄養素以外でもコーヒーにはカフェインやタンニンなど体に影響を与える作用を持つ成分が含まれています。
このページではコーヒーに含まれる栄養素とカフェインのメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。
コーヒーに含まれる栄養成分
コーヒーって体に良いってよく聞くんですけど栄養がいっぱいなんですか?
コーヒーには栄養素もカロリーもほとんど含まれてないよ。ほとんど水だからね。
[コーヒーに含まれる代表的な栄養素]
水分 | たんぱく質 | 脂質 | 繊維 | 灰分 | カルシウム | |
煎り豆 | 2.2g | 12.6g | 16.0g | 9.0g | 4.2g | 120mg |
抽出液 | 98.6g | 0.2g | Tr※1 | Tr | 0.2g | 2.0mg |
リン | 鉄 | ナトリウム | カリウム | ビタミンB2 | ナイアシン | |
煎り豆 | 170mg | 4.2mg | 3.0mg | 2000mg | 0.12mg | 3.5mg |
抽出液 | 7mg | Tr | 1.0mg | 65mg | 0.01mg | 0.8mg |
煎り豆(中挽き)、抽出液100g中
※1Tr(トレース)は成分自体は含まれているが、最少記載量に達していないことを示す
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より
上の表を見てもらえば分かるとおり抽出後のコーヒーには栄養素はほとんど含まれていません。
カロリーについてもブラックコーヒーなら約2kcal程度です。
生豆には豊富な栄養素が含まれているので少しもったいない気もしますが、わたしたちはコーヒーの液体を飲むので仕方ないですね。
コーヒーに含まれるカフェイン
栄養がないのに、皆どうしてコーヒーは体に良いとか言うんですか?
体に良いって言われてるのは、コーヒーに含まれるカフェインのポジティブな作用の事だね。
栄養素はほとんど含まれていないコーヒーですが、コーヒーを飲むと頭がすっきりしたり目が冴えたりと体に影響がでます。
これはコーヒーに含まれるカフェインの作用です。
飲料のカフェイン量
[飲料に含まれるカフェイン量]
種類 | 量 | 抽出条件 |
レギュラーコーヒー | 0.06% | 10gを150mlの湯で抽出 |
紅茶 | 0.03% | 5gを360mlの湯で抽出 |
烏龍茶 | 0.02% | 15gを620mlの湯で抽出 |
煎茶 | 0.02% | 10gを430mlの湯で抽出 |
カフェインとは
カフェインはアルカロイド(天然由来の有機化合物の総称)のひとつで、コーヒーから分離されたためカフェイン(Coffein:カフェ・イン)と命名されました。
主な作用は覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用です。
覚醒作用
カフェインは中枢神経を覚醒させ、疲労や眠気を軽減します。
さらに適量を摂取すれば論理的思考力や記憶力の向上効果、反応時間、集中、持久力、運動性を向上させるといわれています。
解熱鎮痛作用
カフェインには一時的な血管収縮効果があることから、市販の鎮痛薬などにも用いられています。
強心作用
カフェイン摂取により中枢神経が刺激を受け心筋の収縮力が高まります。
血圧や心拍が強くなり、結果的に血液量が増え各種栄養素が体中に届くようになります。
利尿作用
カフェイン摂取により交感神経が優位に働き、腎臓の血管が拡張されます。
それに伴い尿の生産量が増えるというメカニズムです。
カフェインを過剰摂取した時のデメリット
カフェインって良い事ばっかりじゃないですか!悪いところはないんですか?
もちろん良いことばっかりじゃない。カフェインを過剰摂取するとたくさんのネガティブな作用が働くよ。
カフェインは量を守って摂取すれば非常に利点が多い成分ですが、過剰摂取時にはさまざまな問題がでてきます。
カフェイン中毒症状
カフェインを過剰摂取することで血中濃度が急激に上がり、吐き気やめまい、体の震え、不安感、不眠、心拍数の増加など、肉体的・精神的にさまざまな異常が起こります。
パニック障害にも似たこの症状は即時に効くような治療法はなく、対症療法に限られます。
私も何度か経験がありますが、急性アルコール中毒をさらに酷くしたような症状で耐えがたい苦痛でした。
低カリウム血症
カフェインの利尿作用によって必要以上にカリウムが尿から排出されるため、低カリウム状態に陥る可能性があります。
カリウムの血中濃度が下がると不整脈など重大な症状を起こす危険性があります。
睡眠障害
カフェインには覚醒作用があるため過剰に摂取すると睡眠障害(不眠)につながります。
カフェインの血中濃度はなかなか下がらないので睡眠の5時間前くらいからはカフェインを摂取しない方がよいでしょう。
[カフェインを健康な人が摂取した時安全とみなされる量]
安全とされる量 | 体重40kg以下 | 体重60kg以下 | 体重80kg以下 |
(成人) 1回3mg/kgまで | 1回120mgまで | 1回180mgまで | 1回240mgまで |
(成人) 1日5.7mg/kgまで | 1日228mgまで | 1日342mgまで | 1日456mgまで |
(小児~青年) 1日3mg/kgまで | 1日120mgまで | 1日180mgまで | 1日240mgまで |
(妊婦・授乳婦)1日200mgまで |
Scientific Opinion on the safety of caffeine – EFSA – Europa EU
上の表はEFSA(欧州食品安全機関)のカフェインの安全性に関する科学的見解から作成したものです。
西欧人はカフェインへの耐性が無かったり、低い人が多いのでおそらく日本人ならもう少し数値に余裕ができるかと思います。
ただし、これはあくまで基準であり個人差がかなりあります。
カフェインについて書かれているサイトの中には、3杯なら大丈夫とか5杯までならOKと一括りにしているところも多いです。しかし、1杯でも症状が出たり、10杯飲んでも全く問題ない人もいるのです。
ちなみに私はカフェインへの耐性が低い方なので1日3杯程度濃い目のブラックコーヒーを飲めばほぼ100%カフェイン中毒の症状がでます。
アルコールと同じで、駄目な人はほんの少しでも問題が出ますし、許容量が多い人なら何杯飲んでも大丈夫(限度はある)という事ですね。
もし一度でも中毒症状がでた人はその量を覚えておいて、その量の2/3くらいを許容量の目安にした方が賢明です。
まとめ
このページではコーヒーの栄養素とコーヒーに含まれる成分の中でも最もよく知られている「カフェイン」について書きました。
コーヒーはほとんどが水分で、豆の中に含まれていた栄養素のほとんどは摂取することができないということ、カフェインは適量の摂取なら有益なことが多いが、許容量をオーバーすると数多くの問題が起こるということを分かってもらえたかと思います。
最近はオーバーな書き方をするメディアが多いため、カフェイン=悪と思われる人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
自分のカフェイン許容量を知り、問題のない範囲で摂取すればデメリットを被ることなく、数多いメリットを享受できるので、怖がる必要は全くありません。
安心してコーヒーライフを楽しんでください。