コーヒーはコーヒー豆をお湯で抽出して作る、とてもシンプルな飲み物です。
ですが、少ない素材で作るということは、コーヒーの味を決める上で水はコーヒー豆と同じくらい重要だということです。
このページではコーヒーをいれるために必須の「水」について書いてみたいと思います。
硬水と軟水
水って1種類じゃないんですか!じゃあ、どの水がコーヒーに合うんですか?
水には硬水と軟水があるんだよ。それぞれ特徴があって一長一短なんだ。
そのまま飲んで美味しい水を使えばコーヒーも美味しくなると多くの人が考えると思いますが、実はそう簡単ではありません。
コーヒーの味に影響を与えるのは、水そのものの味よりも水に含まれるミネラル分に左右されるからです。
水は硬水と軟水※1の2種類に分けられます。
欧州は硬水が中心ですが、日本の水道水や地下水はほとんどが軟水です※2。
では、硬水と軟水のどちらがコーヒーに適しているかですが、これに関してもどちらがよいとは一概にはいえません。
水に含まれるカルシウムやマグネシウムが多すぎるとコーヒーの主成分のひとつであるカフェインやタンニンを上手く抽出できません。
またコーヒーの大きな特徴である苦味は硬度の低い水にはでにくく、高い水になじみます。
つまり一長一短ということなのです。
自分の好みによってどちらが合うのかを決めるという感じですね。
焙煎度合やグラインド具合、豆の量、そして水の質、結局全てどれが正解というのはなくて好みが一番大事というのがコーヒーの奥深い(面倒な笑)ところです。
※1水に含まれるカルシウムやマグネシウムのイオン量を炭酸カルシウムに換算し、水1Lあたりの含有量が100mg/L以下が軟水、それ以上が硬水となる
※2日本は軟水がほとんどだが、山形県飯豊山周辺や北アルプス黒部ダム付近、沖縄本島などは日本では珍しく硬水
水の質による味の差
水の質による味の差は概ね上の表のとおりです。
どちらがよいというのではなく、マイルドで飲みやすいコーヒーが好みなら軟水を使い、しっかりとした苦味が欲しい場合は硬水を使うなど、自分の好みに合わせてセレクトするのが一番よいかと思います。
日本の水はほとんどが軟水ですが、市販のミネラルウォーターなら硬水や軟水、その間の中間硬水など、さまざまな硬度の水がありますので、味の違いを感じてみてください。
水道水で美味しいコーヒーをいれるポイント
先生!水道水で美味しいコーヒーをいれるポイントを教えてください。
ポイントは塩素と鉄分、そして二酸化炭素だね。
日本の水道水は世界的にみてもかなりの高水準です。
しかしながら、美味しいコーヒーをいれるためにはいくつか注意するポイントがあります。
塩素
カルキ臭はコーヒーの繊細な香りにとっては非常に邪魔な存在です。
水を沸騰させることである程度は軽減できますが、できることなら塩素をカットできる浄水器を取り付けることをおすすめします。
鉄分
経年で水道管が古くなると水に鉄分が多く混ざってきます。
鉄分が多すぎると抽出されたタンニンと結びつきコーヒーの風味を損なってしまう可能性があります。
これに関してもある程度は浄水器でカットできるのでコーヒーの味にこだわる人は取り付けをおすすめします。
二酸化炭素
二酸化炭素にはコーヒーの美味しさを引き出す役割があるので、コーヒーの抽出に使う水には二酸化炭素がいくらか残っている状態がベストです。
しかし、二酸化炭素は長時間の煮沸や、複数回煮沸した水にはほとんど残りません。
それから汲み置きの水ではなく、水道から出た水を直接使うということも重要です。
まとめ
このページではコーヒーの抽出に使う水について書きました。
使う水の質によってコーヒーの味が変わってくるということを知らなかった人も多いのではないでしょうか。
家の水道水だけではなく、いろいろな種類のミネラルウォーターを使ってコーヒーを抽出してみると、水の質だけでこれだけ味が変わるのかと驚かれることでしょう。
毎日飲むコーヒーにそこまでこだわることは難しいかもしれませんが、お客さまを迎えた時などは良質の豆にとっておきの水を使って美味しいコーヒーを飲んでもらうのも一興かと思います。